法廷通訳の勉強・調べものに便利な書籍リスト


 


このリストは裁判所の法廷通訳セミナーのために私が作った書籍リストをベースにしております。
価格は私自身が購入したときのものなので、変わっているものがあるかもしれません。


1)   日本語の法律用語とそのスペイン語対訳が出ているもの
   (他の言語の通訳をされる方は、これらの相当言語版をご使用ください)

★最高裁判所事務総局刑事局『法廷通訳ハンドブック実践編【スペイン語】』

  (財)法曹会
  →これは最低限必要。裁判の流れや通訳人としての心構えに加え、法律用語
   などの対訳集が巻末についている。いろいろな言語のものを順次作成中との
   こと。スペイン語版は赤紫色。

 (↑最高裁の依頼で私が翻訳し、ペルー人の弁護士さんにチェックをして
  いただいたものです。私は市販される前にもらってしまったので、価格が
   わかりません。英語版の価格は \1,800.-+税 ですので、同じくらいだと
   思います。)

★最高裁判所事務総局編『法廷通訳ハンドブック【スペイン語】』
   (財)法曹会 (税込\1,350.-
 →上記の本の前に出たバージョン。訳語にミスが指摘されるなど不備もあるが、
  裁判の流れなどの必要な知識を得るにはよい。スペイン語版はピンク色。
   自主勉強会で使っているのはこちらのバージョン。

★法務省刑事局外国法令研究会編『法律用語対訳集【スペイン語】』
  商事法務研究会 (\1,456.-+税)
 →検察庁の通訳さんがよく使っている対訳集。いろいろな言語のものが出ている。
  法廷通訳ハンドブックと違い、民事関係の用語も豊富だが、尋問の対訳はない。

★最高裁判所事務総局家庭局『少年審判通訳ハンドブック【スペイン語】』
  (財)法曹会 (\1,457.-+税)
  →少年事件の通訳に必要な審理の流れなどの説明に加え、法律用語などの
  対訳集が巻末についている。

注意:『ハンドブック』と呼ばれるものが上記のように多種あるので、購入の際は
   間違えないように。

2)法律用語の解説(用語集)

★『図解による法律用語辞典』自由国民社 (\2,233.-+税)
  →法律用語(日本語)の意味がわからないときは、これが一番。ちょっと
  かさ張るけれど、買って損はしない本。

★内閣法制局法律用語研究会編『法律用語辞典』有斐閣 (\6,000.-+税)
  →法廷通訳や法律用語に少し慣れてきたらこれもおすすめ。ハンドブックの
  翻訳中は、この本に大変お世話になった。

★井口 茂著『法律用語あれこれ』法学書院 (\1,300.-+税)
 →「告訴」と「告発」の違い、「または」と「もしくは」の違いなどを解説。


★井口 茂著『続 法律用語あれこれ』法学書院 (\1,340.-+税)
 →「自首」「保釈」などの語を詳しく解説。

★『似たもの法律用語のちがい』法曹会 (\942.-+税)
 →上2冊と似ているが、扱っている語がずっと多い。

★町野 朔編『刑法キーワード』有斐閣 (\1,500.-+税)
  →同じく用語解説集。こちらは扱っている語数は少ないが、より詳しく説明
  している。

3)用語集以外の、裁判や法律に関する本

★『東京地裁ってどんなところ』公人社 (\1,650.-+税)
  →本来は傍聴希望者のための本だが、裁判の流れがわかりやすく解説されて
  いるので、通訳人にもおすすめ。


★造事務所編『だれも教えてくれない法律活用ガイド』情報センター出版局
  (\971.-+税)
  →シロウトのための法律と法律用語の解説書。とてもわかりやすいので
  おすすめ。
  例えば、「知っててもトクしない、前科者のメリットとデメリット」の
  ページでは、「前科」と「前歴」の違いがわかりやすく解説されている。
  「知らないうちに“共犯者”……、幇助犯・教唆犯・共同正犯の正体」の
  ように、法廷通訳に必要な基礎知識が得られるだけでなく、「知らない
  ヤツがバカをみる!時効のウソとホント」のように、面白くてためになる
  話が沢山出ている。

★河上和雄著『刑法の基礎と盲点』講談社 (\1,600.-+税)
  →刑法の主な条文を順に解説。読み物としても面白く、入門者だけでなく、
   すでに法廷通訳を長年やっている人にも読んでもらいたい一冊。

★別役実・玖保キリコ著『現代犯罪図鑑』岩波書店 (\1,748.-+税)
  →実際の判例を分析。「法律上はこの行為、この関係をどうとらえるのか」と
  いう視点が学べるのでおすすめ。私は法廷通訳を始めて1年半くらいの頃に
  読んだが、とても面白くてためになった。

★『ポケット六法 平成16年版』有斐閣 (\1,500.-+税)
 →六法全書をいきなり買っても、素人には使いこなせないし、もったいないので、
  とりあえずこういったものから触れていくのがいいかと思う。

4)法廷通訳に関するもの

★『刑事裁判の理論と実務』(中山善房判事退官記念論文集)成文堂
   (平成10年2月20日発行)より
  田中康郎 著「外国人事件における正確な法廷通訳の実践と適正な訴訟運営」

   →現場で通訳事件を扱ってきた裁判官が書いた論文。
    法廷通訳の心構えをはじめ、いろいろ実践的な話が満載。
    法廷通訳の仕事をする人は必読!絶対おすすめの一冊。

    (論文集は売りきれてしまい、増刷はしないということで、
    必要ならコピーをしてもいいと言われました。
    お読みになりたい場合は、裁判所の資料室で借りるか、
    法廷通訳をしている人にコピーを頼むなどしてください。
    また、裁判所のセミナーに参加するともらえるかもしれません。)

  渡辺 修・長尾ひろみ 編著『外国人と刑事手続〜適正な通訳のために〜』成文堂\3,800.-+税)
   →大阪・神戸の方たちを中心とした、通訳人経験者や弁護士、
    法学者などが書く、法廷通訳の実際と留意点、問題点など。

5)その他必要な知識を得る本

★三木恵美子ほか著『外国人問題弁護ノート』アルク (\880.-+税)

 →読み物。司法通訳者を目指すならぜひ読んでおいてほしい。

★死に至る薬と毒の怖さを考える会編『図解・中毒マニュアル〜麻薬からサリン、
  ニコチンまで〜』同文書院 (\1,262.-+税)
 →ドラッグについての知識も、法廷通訳では必要になることがある。

6)スペイン語関連

★山田善郎監修『中級スペイン文法』白水社 (\4,700.-+税)
 →これが現在一番詳しい文法書。

★大島洋子・肥田章子著『病気のときのスペイン語会話』学生社
  (\2,816.-+税)
 →巻末の用語集が専門的でとても便利。

  BRIAN STEEL “DICCIONARIO DE AMERICANISMOS” SGEL
 (\3,000.-くらい)
   cuadrarって何? quedarse en pana は?中南米のスペイン語はこれで
  調べよう!

♪このほか、大きな西西辞典(VOXとかPLANETA、GRIJALBO社などの)が
     あると便利です。

♪スペイン語の法律用語辞典(スペイン語でスペインや中南米の法律用語を
 解説している辞典という意味です)は必ずしもすぐに必要ではないと思いますが、
 手に入るようなら一冊購入しておくといいでしょう。



ここに紹介した本の大半は、普通の本屋で購入可能です。
ハンドブックについては、いろいろな言語のものを順次作成中ですので、
詳しくは最高裁事務総局刑事局第二課(電話03-3264-8111 内線4223)
までお問い合わせください。

スペイン語の本は洋書を扱っている本屋か、東京(渋谷区神南)の
インタースペイン書店でご注文ください。

(電話
03-5784-3223 FAX 03-5784-3224
(インタースペイン書店ホームページ http://www.interspain.jp/ )


(文責:中西智恵美)
(無断転載禁止)

(1996年2月6日初稿、2000年2月4日初回アップ)
(2003年11月14日更新)


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