〜スペイン語の辞書 1 (普通の辞書)〜
(注)価格は私が購入したときのものです。
●西和辞典
普段私は3冊の西和辞典を使っております。
ミニ辞典を別にすると、この3冊以外はちょっと使いづらい気がします。
1.白水社『現代スペイン語辞典(改訂版)』\4,000.- + 税
1999年1月発行
今一番使いやすいのはこれですね。初心者から中・上級者まで使えます。
私が普段持ち歩いているのはこの辞書です。
「アットマーク」や「ターミナルケア」、「地球温暖化」といった新語(?)も
出ています。
経済などの分野に強い辞書です。
個人的には巻末の「文法概要」(割と詳しい)が気に入っております。
PSOE(スペイン社会主義労働者党)などの略語は、改訂前のものでは
巻末にまとめてありましたが、改訂版では普通の単語と一緒に並んでいます。
また、改訂前のものではChとLlが独立項となっていましたが、この改訂版では
それぞれCとLの項に統合されています。
2.研究社『新スペイン語辞典』\4,854.- +
税
1992年6月発行
例文がわかりやすい辞書です。写真や挿絵が沢山使われていて、ぱらぱらとめくって
見ているだけでも楽しいです。
1.の白水社の辞書より分厚いので、私は主に家で使っています。
これ以前に出た辞書では動詞の活用は巻末にタイプ別に書いてあるだけだった
ので初心者には探しにくかったのですが、この辞書ではこれを改善するため
基本動詞の活用をその動詞と同じページに載せてあります。
字が1.や3.に比べてやや太めで見やすいので、年配の方にもお勧めです。
中南米の言葉にも割と強い辞書です。
P.N.B.(国民総生産)などの略語は最初の文字(たとえばP.N.B.ならP)
の項の最初のページにまとめてあります。
(余談。なんとPSOEが出てませんでした...。)
ChとLlは独立した項になっています。
巻末に簡単な和西(というか索引なんですが)がついているのも便利です。
また、(他の辞書にはない)スペイン語圏以外の地図も巻末についています。
別売りでCD(普通のCDです)が出ており、例文などが聞けるようになっています。
#なお、この辞書の編集、ちょっとだけ私もお手伝いしました。
(名前が載ってます。)
3.小学館『西和中辞典』\5,631.- + 税
1990年1月発行
語源の解説や似た語の使い分けの説明など、プロやプロを目指す人にとっては
痒いところに手が届くといった感じの辞書です。
中南米の言葉を一番多くカバーしているのがこの辞書です。
医学・教育・スポーツ・映画・法律・船舶など、分野別に専門用語や
よく使われる語をまとめてあるのも便利です。
ただし、残念ながら、例文は1.や2.に比べて少なめです。
文学作品を読むときはこの辞書がお勧めです。ただし、ことわざの日本語訳だけは
ときどき「えっそうかなあ」と首をかしげるものもありますので要注意。
分厚いので、私は家に置いて使っています。
略語は普通の語と並べて書いてあります。
ChとLlは独立した項になっています。
●和西辞典
こちらは残念ながらまともに使えるのが1冊しかありません。
他にも一応何冊か持ってはいるのですが...。
1.白水社『和西辞典(改訂版)』\4,500 +
税
2001年1月発行
前の版は1980年のものですから、たとえば「セクハラ」などの新語(すでに
新しくはないですけど)が入っておらず困ったものですが、この改訂版では
そういった語もカバー。特にPC関係の用語は大幅に増えました。
おおっと、発見です。「ウーパールーパー」が出ているではないですか。前の版には
なかったのに。さてはうちのHPを見たな。(笑)
DNA(スペイン語ではADN)やMRSAなどの略語は巻末に並べられています。おっ、
ここに「CTスキャン」も出てますね。
この辞書は囲み記事(表現集やテーマ別語彙集など)がとても充実しています。
巻末に地名や著作物・美術・音楽のタイトルなどがまとめて出ているのも便利です。
手紙の書き方もついています。
●西西辞典
西西辞典も中級以上になったら1冊は持っていたいものです。
私は何冊も持っていて、普段はそのうち3〜4冊を使っております。
いろいろ特徴があるのを見分けた上で使い分けしておりますが、
これは一応私の企業秘密(笑)なので、1冊だけお教えしますね。
これが一番使いやすいと思いますので。
1.”DICCIONARIO PARA LA ENSEN~ANZA
DE LA LENGUA ESPAN~OLA” VOX
1995年5月発行
例文で語の使い方を説明するタイプの辞書です。ただし、例文が豊富な分、語彙数は
あまり多くありません。
辞書によっては新しい使い方を厳しく批判して認めないものや、逆に何でもOKと
いう「心が広すぎる」ものなどもあるのですが、この辞書は中庸というか、その
あたりのバランス感覚が優れていると思います。
スペインで見つけたのですが、いろいろあって結局日本で購入しました。
インタースペイン書店の2002年版カタログによると、3,750円+税 だそうです。
西西辞典はとにかくこういう「例文が沢山出ているもの」が便利です。
あとはLAROUSSEのように写真や絵などが多く出ている、百科事典的なものがあると
いいと思います。
また、RAE (REAL ACADEMIA
ESPAN~OLA) の辞書は、プロなら一応持っておきたい
ですね。
ということで、ついでにこの2冊も紹介しておきましょう。
2.”EL PEQUEN~O LAROUSSE ILUSTRADO” LAROUSSE
(私が持っているのは1996年度版)
名前が示すようにカラー刷りの辞典です。前半は普通名詞、後半は人名・地名を
扱っています。イラスト入りでたとえば様々な種類のキノコを並べていたりしますが、
語の使い方を示す例文などはまったくありません。
私は日本国内で購入したのですが、値段を忘れてしまいました。
インタースペイン書店のカタログで調べたところ、2001年度版は8,500円+税
とのことです。
3.REAL ACADEMIA ESPAN~OLA ”DICCIONARIO DE LA LENGUA ESPAN~OLA”
ESPASA (私が持っているのは2001年度版の21 ed. )
簡単に言うと「正しいスペイン語とは」を決めるのがこのRAEです。
なので、使う頻度は低くても、プロなら一応持っておいたほうがいいと思います。
大型本のほかに2冊に分けた小型本もあります。
大型本が25,700円+税(インタースペイン書店の2002年版カタログによる)。
♪辞書に関する注意♪
1)辞書はなるべく新しいものを使いましょう。
いつまでも30年以上前の古い辞書1冊で頑張っている人が時々いますが、
訳語が適切でなかったり、もう使われない表現が出ていたりしますし、
もちろん、いわゆる時事用語などには対応できません。
また、1975年にアクセント記号に関する大幅な見直しがされていますので、
それ以前に出た辞書を使っていると、文章を書いたとき「古い辞書を使ってますね」
とバレてしまいます。(笑)
2)旅行する人やちょっとスペイン語をやってみようかなという程度の入門者には
軽いポケット辞書のほうがもちろん便利ですが、
プロやプロを目指す人、大学でスペイン語を専攻している人(以後、「プロ等」)は
それなりの辞書を使いましょう。
3)プロ等の場合は1冊だけ引いて満足しないようにしましょう。
辞書も人間が作る以上、ミスがある場合もたまにはあります。ですから、たとえば
「○○ってスペイン語で何と言うのだろう」と思って引いた出てきたスペイン語の
スペルが間違っている、なんてこともあり得るわけです。でもスペイン語を専門と
する以上は「辞書が間違っていたから」なんて格好悪い言い訳はできません。初めて
見た語は、必ずもう一度別の辞書で引きなおして確認するようにしましょう。
また、言葉というのは犬はperroで猫はgato、のようにすべて単純に1対1で対応
しているわけではありませんから、「A=B」と安易に思い込んで使っていると恥を
かくことになりかねません。スペイン語での説明を西西辞典で読んだり、例文に沢山
触れたりして、正しい「使い方」をマスターしましょう。
4)スペイン語は英語ほど沢山辞書が出ていませんし、日本で買えるものも限られて
います。特に専門用語などは普通の辞書だけではどうにもならないので、英語を
介して、たとえば 日本語→英語→スペイン語 のように引く必要が出てきます。
また、最新の時事用語などは、普段から新聞等を読んでチェックしておかないと、
辞書だけではカバーできません。
辞書に載っていない語をどうやって探すかについては、このHPの
『ウーパールーパーの探し方』を読んで研究してくださいね。(宣伝でした。 笑)
(中西智恵美 2002.4.10. )
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